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“お寺の知恵拝借”は、普段の生活を見直すためのたくさんのヒントが詰め込まれています。今回は“精進料理”


“精進料理”とは、もともとお寺の修行僧が自ら作り、食べる料理のこと。仏教では殺生(生き物の命を絶つこと)を禁じているため、肉や魚などは使いません。


主に野菜を使って料理するのですが、その野菜の持ち味を生かすことが、精進料理の最大のポイントとなります。そこで、“料理するこころ”を学ぶことができるのです。

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禅寺の台所を司る役職とは?

静岡県袋井市にある、曹洞宗の秋葉総本殿可睡斎。
曹洞宗の禅の道場として知られていますが、ここは一般の人も訪れることができます。こちらで「ゆり膳」という精進料理をいただくことができます。


禅寺では台所を司る「典座(てんぞ)」という役職があります。
ここの典座である小金山さんという方が台所を仕切っているのですが、お寺の表の看板に「私は“うまい”にこだわった精進料理を作りますよ。うまいから続く、続くから建国になれるんです。ぜひ、お召し上がりください」と書いてあります。


多い日には300人もの人が訪れる可睡斎。
一体、どんな料理を出してくれるのでしょうか。

典座の知恵とは?

“典座の知恵”というべきものがあります。

○だしや調味料を使うのは最小限。素材の持ち味を生かす


このとき、小金山さんはブロッコリーをゆでていたのですが、ゆであがったブロッコリーをお水に取っていました。
このお水に味がついていたのですね。塩水に砂糖を入れていたのです。


なぜ?
塩水に砂糖を加えることで塩気の角を取っていたのです。


○どんな食材でも生かしてあげる

丁度取材の日に使っていた大根が、見た感じあまり新鮮ではありませんでした。
そういうものは使わないと思っていたのですが、小金山さんは少ししなっていた大根を隠し包丁を入れて、油で揚げたんです。揚げ色も見るからに食欲をそそるおいしそうな揚げ大根でした!


材料を見ただけで、こころを惑わされるな、ということなんですね。
新鮮ではなくなっても、その状態を生かした調理を工夫しろということ。


確かに、水分が少し抜けた大根は油との相性が良いようでした。

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典座教訓の教えとは?

曹洞宗の開祖は道元です。
道元という方も食にはこだわりをお持ちの方のようでした。教訓として残されていることがあります。


≪典座教訓の教え1≫

「粗末な食材でも努力を怠ってはいけない」

禅では、あらゆるものに平等に仏が宿ると考えられていて、ものの価値に優劣はない、としています。

粗末な食材、と私たち作る側が思ってはいけない。
「なんだこんなもの」と思うこころが一番よくない。

鮮度の落ちた食材でも、その持ち味を生かして工夫するのが典座の仕事。


≪典座教訓の教え2≫

「食材は自分の目のように大切に扱いなさい」


食材のすみずみまで気を配って使い切るようにすること。
現代の食材(この日はスパゲティも使っていました)も生かして、日々工夫を重ねる。
精進料理は古くて新しい料理なのです。


≪典座教訓の教え3≫

「料理の方法は相手の好みや食材次第で工夫をしながら臨機応変に変えていくべきだ」


≪典座教訓の教え4≫

「大きなことを成し遂げるために大切なのは、小さなことを一つ一つ積み重ねること」

派手な技を使うより、丁寧な作業を大切にする。それがおいしさにつながる。


≪典座教訓の教え5≫

「喜心:料理を作ることを喜びとし、楽しみながら工夫をする」


最後に小金山さんの言葉がこころに残りました。


「おいしかった。また食べたいという気持ちを持ってもらうことが一番だと思いますね」
「修行僧を満足させてあげる。作るときも、作らせて頂く、ということ」


つまり、料理する側は食べる側からの感謝を期待するけれど、でも、料理する人も、食材を作ってくれた人に対して、感謝の気持ちがないと、おいしい料理はできないということなのでしょうね。

精進料理は食べるときの作法も大切

精進料理は食べるときの作法も定められています。


食事が運ばれて来たら、自分が適量だと思えるところで「免停」という作法をします。


≪食事の作法1≫

合図いして(右手を少し上げる)、必要な量だけをいただく。

食べ始める前に、「五観の偈」という食事の心得を表すものを毎食ごとに唱えることが決まりとなっています。

食に対する感謝の念や敬意が込められています。


≪食事の作法2≫

両手で器を持ち、頭上に上げる。
食事への感謝の念を表す。


≪食事の作法3≫

食べるときは音を立てない。
それは、かむ音も器を置く音も同じ。

たくあんの音も奥歯でいかに音を立てずに食べるか。
これさえも修行なんですね。

最後に

可睡斎では、月に2回、料理教室が開かれています。
でも、料理教室には普通にある「レシピ」がありません。


献立はあるけど、レシピはないんです。
メニューは書いてあるけれど、作り方の詳細は何もありません。
作業を始めると同時に口頭で伝えられ、大まかな調味の分量などは伝えられますけど、あとは味を見ながらという感じでしょうか。


これが、典座教訓の教え3「料理の方法は相手の好みや食材次第で工夫をしながら臨機応変に変えていく」ところにつながるのですね。


「精進料理のこころを学ぶ」は、「精進料理こころを学ぶ」とも言えますね。



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