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最近、テレビなどで、お寺や神社などを取り上げる番組が多くなったような気がします。
一般の人から見ると、禅寺の修行僧は一体どんな生活をしているのだろう、という興味を持つ人も多いのでしょう。


修行僧がどんな食事をして、どんな修行を日々こなしているのか、実際に見て、できたら自分も試してみたいと思ったりします。
普段味わえない異空間を体験することが、日常での意識を変えることになるかもしれません。


最近続いている禅寺シリーズ?
もう少し、“禅寺の台所”として、食事について書いてみたいと思います。


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禅寺で重要な“典座(てんぞ)”という存在とは?

禅寺の台所には“典座”と呼ばれる台所の担当責任者の存在があります。


達磨禅が禅宗の基本になっていく時代、座禅が修行の中心になりました。
道元禅師は座禅の役割と座禅について、食事を司ることも座禅と同格であること。山仕事も食事も掃除も禅だが、座禅が基本となっていなければすべてが正しく行われていかない、と言っています。


典座は、朝の食事を食道(じきどう)に送り出すとき9回お拝(おがむ)をします。これは仏法僧にお拝をするためだけでなく、食材への感謝、自分が調理させて頂いたことへの感謝、それを食べてくれる人への感謝であると考えられます。


典座は、道を求める心がなければできない。我が強くてはできない。食事を司るだけではなく、座禅による修行が本物かどうかが表れてしまうのです。


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味の基本は五味 でも禅寺では?

日本の味の基本は通常「五味」と言われていますが、道元禅師は、その{五味」に「淡」を加えて「六味」と言っています。


「甘い」「辛い」「酸っぱい」「塩辛い」「苦い」、これらは舌で感じることができる味覚。
道元はこれに「淡」を加えることで、身体全体で食するということを訴えているのではないかと考えられています。
全身で味わう、感じる「味覚」ということでしょうか。


調味されていない「素材そのものの味」。
舌先の味ではない、もっと深いところで感じられる味。


素材に感謝する気持ちがなければ、単なる「うす味」としか受け止められないかもしれません。


自然の素材の持ち味をもっともよく引き出せるのが「淡味」だとすると、「淡味」こそが味の基本であるということですね。


「六味」のほかに、調理法として「三徳」と呼ばれるものがあります。
軽軟(きょうなん)」・・あっさりしていて柔らかいこと。
浄潔(じょうけつ)」・・清潔で美しいこと。
如法(にょほう)」・・正しく理にかなったこと。


つまり、舌先や形だけにとらわれているのは意味がないということ。
心を配り、心を込めて食事の支度をすること。


これらが一体となって、「六味三徳」が自然な形で行われること。これが理想です。

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“典座教訓”は現代の家庭にも通用する?

「典座教訓」は、料理を作る要職である典座が備えるべき心得を説いた教えの書です。
意訳でいくつかご紹介します。


○“典座”は重職。家庭でも料理をする人は大切な存在
食事というのは、ただ空腹になったから食べる、食べさせるというだけでなく、家族の表情や食欲の有無から体調を読み取ったり、精神的な状態まで気づくことができます。母親は家庭での“典座”なのです。


○精一杯を積み重ねること
どんな些細なことであっても大切にすること。水が豊富にあっても水を大切にする。火加減やお鍋を見るときも心配りを忘れないこと。
「これくらいでいいだろう」「もう十分」など、自分の物差しで判断してしまうが、努力には限りがない、やれるだけのことはやりぬく、と考えること。


○「喜心」「老心」「大心」
喜心:喜びの心。料理を作る喜び。食べてもらう喜び。食材への感謝と共に、それを料理させて頂く喜び。
老心:相手のためを思う気持ち。子供を思う親の気持ちだけでなく、他人にも“老心”で接する。
大心:片寄らない、1つのことにとらわれない大きな心。それぞれの役割を大切に生きていくこと。


○誠心誠意取り組む
「今ここしかない」という心構えで精一杯やらせて頂く、その心で取り組んでいる。ひたむきな心構えと行いが一つになってこそ「誠意」であるということ。


○些細なことこそが宝
ありきたりの見方、材料や献立の粗末、豪華さに左右されない。目の前の対象の見た目に心を動かされない。振り回されない。用意された素材の良し悪しに心を変えることなく、与えられたことに精いっぱい向かって行く。自分の全身心をそこに表していなければいけない。

まとめ

禅寺の台所は、まさに禅の修行の場所なのですね。


でも、これは禅寺にしかできないということではありません。
普通の家庭でも取り入れることができるエッセンスはたくさんあります。


家庭で毎日食事のことを思い、家族の大切な健康を維持し、衛生の管理をする大切な使命を持っている主婦は、まさしく我が家の“典座”なのだと思います。




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