62d1784fffb230769e2c5b3a35b381e5_s


「お寺の知恵拝借」も6回目になり、座禅をどう自宅で実践していくかというところに入ってきました。


お寺で座禅のやり方を学び、禅の心を頭で理解することができても、いざ普段の生活に戻ると、お寺で感じた静けさや深い満足感を得ることは難しいと感じてしまいます。


せっかく垣間見た「禅の心」をいかに普段の生活で活かしていくか。
今回はその実践編です。


 スポンサードリンク

座禅はきちんと基本を学ぶことが大事

今回も、建功寺の住職である枡野俊明さんの登場です。


枡野さんは、座禅はまず基本をきちんと学ぶことが大事だと言います。
最近は、座禅会など一般の人が参加できるようなお寺も多くなっています。
一度そういうところで、きちんと座禅の基本を学ぶことによって、自宅での座禅に不安感なく取り組めるということですね。

座禅のやり方は宗派によって異なります。

臨済宗:考えることで悟りに近づく
曹洞宗:何も考えずただひたすら座る

どうして、このように宗派によって座禅のやり方が違うのでしょうか。


それは、富士山の登山に例えてみることができます。
富士山も頂上に上るにはいろいろな登山口がありますね。


座禅の境地を頂上と例えると、頂上は同じでもどちらから行くかは長年の伝統の中で差が生まれたということなのです。


大事なのは、座禅をするときは、期待も不安も捨ててとにかくやってみること。

「調身」「調息」「調心」とは?

基本姿勢を学ぶときに覚えておきたいキーワードは、「調身」「調息」「調心」です。

「調身」身体を整える

「結跏趺坐(けっかふざ)」の形をとります。
左ももの上に右足をのせ、右ももの上に左足をのせます。
それが無理なら、片足だけ上げる「半跏趺坐」でも大丈夫。


このとき、曹洞宗では、座蒲(ざふ)と呼ばれる専用の座布団を使います。
お尻の位置を高くすることで、座禅を組んだときお尻と両膝の3点で体重を支えることができます。


足は無理のない範囲で組みましょう。
正座の場合は、座蒲を両足で挟み込むようにすると足のしびれが軽減されます。


ては、右手の上に左手を重ね、親指と親指を軽くくっつける形にします。
これを、「法界定印(ほっかいじょういん )」と言います。


しっかり座禅ができているかどうかは、この指先に現れるのです。
緊張が強いと山形になり、気がゆるむと指が離れます。


形が整ったら身体を左右に揺らし、中心でピタッと止めます。
重要なのは背筋をまっすぐに伸ばすこと。
骨盤を立て、お腹を少し突き出すように腰を入れます。


頭の天辺で天井を突き上げるようなイメージです。
目線は斜め45度舌を見て、仏様のような半眼の目にします。
半眼とは、目を見開かず細めず自然に開くこと。


このとき、アクセサリーや身体を締め付けるネクタイ、靴下などははずします。

「調息」呼吸を整える

身体の中の空気、邪気を全部吐ききるつもりで行います。
「欠気一息(かんきいっそく )」、息を長く吐きだし呼吸を整えること。
履ききってしまうと自然に息が吸える状態になります。


座禅の始めにこの深呼吸を数回行います。
最初に吐く息を意識するのがポイント。
その後は鼻の呼吸を行い、おへその下、丹田を意識して腹式呼吸をします。


座る位置ですが、曹洞宗では、壁や建具に向かって座ります。
部屋は集中できるように薄暗くします。

「調心」心を整える

座禅をすると気持ちが落ち着き、集中力が増します。
これはどうしてでしょうか。


実は、基本的に自分の意志で心を落ち着かせようとしてもやりようがないのです。
それで、姿勢を整えると呼吸が整う、呼吸と心は連動しているので、呼吸が整うと心も整ってくるということになるのですね。

スポーツの場合は、呼吸を整えたものが「勝つ」わけです。


それから、座禅を組んだ状態は血管がゆるむので、血流がとてもよくなることがわかっています。


スポンサードリンク

自宅でできる座禅のやり方

では、自宅で座禅に挑戦しましょう。
自宅では、床は畳でなくても、フローリングでも、なんでも構いません。
やはり、あまり明るすぎないところ。
目の前に物が散らかったり、たくさん置いていないところを選べましょう。


壁やタンス、落ち着いた色合いのカーテンに向かって行うと落ち着きます。
時間帯は、早朝や寝る前が理想。


座蒲の代わりに丸めたタオルケットなどを利用してお尻の下に当てます。
重要なのは腰が沈まない固さがあること。


自宅では自分の好みのアロマオイルやお香などを焚いてリラックスした環境で座禅を楽しむことができます。好みの香りがあると呼吸を自然に意識しやすいという効果もあります。


では、自宅で一人で座禅をしていて、もし姿勢などがくずれた時、自分でどう気づくことができるでしょうか。


何か考え事をしたときには、前かがみになるという傾向があるんですね。
身体に力が入ると体が揺れます。


姿勢は、考え事をしたり気がゆるんだりすると乱れます。背筋がきちんと伸びる感覚は身体で覚えるしかない、という枡野さんのお話でした。


きちんと背筋が伸びるとお腹の中が広がる感じがします。胃や腸に負担がかかっていない感覚も。


血流がよくなるということは新陳代謝も良くなるので、肌もきれいになります。


足や腰が悪くて床に座れない人は、椅子でも座禅はできるので椅子を利用して座禅をしてみましょう。
その場合、ソファーは柔らかくて腰が落ちてしまうので、椅子を選びます。


座禅に向いている椅子は、座面が平たく、腰の沈まない椅子。背もたれはあってもなくても構いません。

○椅子に浅く腰掛け、足を肩幅に広げて座ります。
座面がカーブしている椅子や高すぎ・低すぎの椅子は姿勢が整わないため座禅には向きません。

○坐骨を立て、お腹を突き出すように背筋を伸ばし、腹式呼吸をします。

座禅に慣れてくると、いざというとき少し呼吸を整えるだけで心が落ち着くようになります。
心を落ち着けたいときは、大きく息を吐き、おへその下の丹田に落とすように息を吸います。


そうすると、足がきちんと地面に着いたような感じになります。
つまり、「上がり」がなくなるのです。平静になれるということですね。


半眼で大きな腹式呼吸を3回繰り返すだけで、心が落ち着きます。


これを、生活の中で活かすのです。
現代社会は精神的負荷が高く、ストレスがたまりやすい環境です。それをうまく自分でコントロールするのです。


社会を変えるのは無理だけれど、自分の受け入れ方を変えると生き方が楽になります。


怒りも不安もすべて吐き出すつもりで、心が乱れたら深い腹式呼吸をする。
これを繰り返すことで自分をコントロールすることができるようになり、“自信”がついてきます。

「喫茶喫飯 」とは、なに?

座禅の心を日常に活かすために枡野先生が勧めるのが「お茶の時間」。


お茶を飲むときはお茶のことだけを考える。他のことは考えない。
そのものに一つになる、ということ。


座禅をしているときだけが「座禅の心」ではなく、それを生活に広げていくことが、「禅の生き方」であるということです。


禅語に、「喫茶喫飯(きっさきっぱん )」という言葉があります。
お茶を飲むときは飲むことだけ。
食べるときは食べることだけに集中する。


今行っていることに無心に取り組むことが大切、という教えです。


座禅をするのもすごく大事なこと。
一杯のお茶を体そのもので楽しむ時間も同じ。
一瞬一瞬の積み重ねが一生を築いていく、ということです。

最後に

「花無心招蝶 蝶無心尋花」(はなむしんにしてちょうをまねき ちょうむしんにしてはなをたずぬ)という言葉があります。

花や蝶は無心でありながら自然とお互いを支え合っている。人間も無心に自分の本分と向き合うことが大切。


花は蝶を招くために咲くわけではない。蝶も花のために行くわけではない。
互いに本分をまっとうしていることで、互いに不可欠な存在になっている。


人のためにやってあげようではなく、まず自分のやるべきことを全うすることが人のためになっていく。そういう教えなんですね。


関連記事 >
“趣味どきっ”シリーズで“お寺の知恵拝借”という番組が始まったので見てみると、「掃除」に対しての認識がかなり変わりました。「掃除の自己啓発」のような番組です。 これを深堀したら、生き方も変わるかもしれません。
関連記事 >
最近、テレビなどで、お寺や神社などを取り上げる番組が多くなったような気がします。 一般の人から見ると、禅寺の修行僧は一体どんな生活をしているのだろう、という興味を持つ人も多いのでしょう。 修行僧がどんな食
関連記事 >
“お寺の知恵拝借”は、普段の生活を見直すためのたくさんのヒントが詰め込まれています。今回は“精進料理”。 “精進料理”とは、もともとお寺の修行僧が自ら作り、食べる料理のこと。仏教では殺生(生き物の命を絶
関連記事 >
“お寺の知恵拝借”も第8回。最終回になりました。 お寺の庭の落ち着きとすがすがしさを家庭にも取り入れる方法を枡野俊明さんが紹介しています。 どんな小さなことにも心を砕く、知恵を使う、そんな日本人の豊かさを


スポンサードリンク