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“健康格差”という言葉を知っていますか?
最初に考える関連用語は“所得”。
でも、“所得”以外にも、住んでいる地域、雇用形態、家族構成などで“健康格差”は違ってきます。


健康は自己責任でしょ、という意見もあるでしょうが、健康を保つためには心身ともにある程度の余裕が必要です。
所得の少なさはその余裕を奪うことにつながりますね。


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建康格差を生み出す要因とは?

調査によると、非正規雇用の人は正社員に比べて、糖尿病の合併症の割合が1.5倍多いとのこと。
短期雇用の繰り返しで働いている人は定期的な健康診断をしていない人が多いです。


雇用の不安定さと健康診断の受け辛さ、通院することで仕事を休むとそのことで解雇されてしまうという恐れも病状の悪化につながります。非正規雇用の人は仕事を掛け持ちでしている人多く、食生活も自炊ではなく、高血糖になりやすい傾向がありますね。


そういった経済力による健康格差は糖尿病だけではありません。
低所得の人は高所得の人に比べ、精神疾患で3.4倍。
肥満や脳卒中でおよそ1.5倍かかる率が高いのです。


70代の男性は、60代に入ってから骨粗鬆症になり、現在も痛みに苦しんでいますが、骨粗しょう症の主な原因は食生活でした。年収は180万ほどで、食事は一日に2食。ほとんど副食は一品で栄養のことを考えた食事内容ではありませんでした。


国の調査では、所得が低いと米やパンの炭水化物の摂取量が増え、野菜や肉の摂取量は減少することがわかっています。


経済的にゆとりのない家庭では、ゆとりのある家庭に比べるとお菓子やインスタントラーメン、カップ麺などがより多く食べられ、魚や大豆製品、野菜はあまり食べられていないこと。


生活にゆとりのない家庭の子供は肥満率が高く、虫歯の数が多く、運動習慣がないということも明らかになっています。
今や健康格差は子供の未来まで脅かしているのです。

健康は自己責任か?

健康格差は“命の格差”とも言えますね。
自己責任だけでは解決できないほど社会に根差している問題です。


非正規雇用だと、仕事の掛け持ちをすることもあります。自分の時間が睡眠時間を含めても一桁しかないような状態で、健康を考えて調理の工夫をするのはかなり難しいと感じます。


短期間で高脂血症になる人がいるのは、お腹がすいたら牛丼屋に駆け込むような食事の形が原因なのでしょう。
どうしても睡眠時間を優先すると料理の時間が無くなってしまうことに。

海外での健康格差縮小対策とは?

イギリスで成功した健康格差の縮小対策があります。
かつてのイギリスでは虚血性心疾患や脳卒中で亡くなる方が多く、低所得者がかかりやすい健康格差の典型的な疾患とされていました。


イギリスの食品基準庁が、今から10年前、85種類の食品について塩分量の目標値を設定、メーカーに自主的な達成を求めました。
しかも、ターゲットは「パン」


でも、メーカーとしては塩を減らすとパンを買ってもらえなくなる恐れが。

そこで国が考えたのは、「ゆっくり塩分を下げよう」ということでした。
実施する前の実験で、6週間本人たちには知らせずに徐々に減塩していたパンを食べてもらっても、最後まで本人たちは気が付かなかったのです。最終的には25%も減らしたにもかかわらず。


人は慣れてしまうものなんですね。
ゆっくり減らしていくと味の変化に気が付かないものなのです。


この実験が成功したことでメーカー側を説得でき、多くのメーカーの協力のもと7年かけて20%もの減塩に成功しました。
驚いたのはその結果。

なんと、年間2000億円もの医療費が削減できたのです!

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日本での健康格差縮小対策とは?

日本でも少しずつ各地域の自治体などで格差縮小のための取り組みが行われています。


足立区では、もともと糖尿病患者数が多く、23区の中で年収が最下位ということもあり、健康格差のための取り組みが行われました。
それが、できるだけ野菜を多く撮れるような仕組みです。
居酒屋ではお通しなどでは野菜を出すようにし、お肉の注文があっても先にサラダなどを出すようにしていると言います。
スーパーでも通常のおそうざいに付け合せの野菜の量を30%も増やしていました。


区が飲食店にお願いしたのは、「知らない間に野菜から食べる仕掛け」でした。
野菜の食物繊維は糖の吸収を遅らせるのです。


こういったお店は区の補助が一切なくても協力店が604店にも上っています。
それは、区のホームページに協力店として紹介されるからです。


子どもたちにもこの取り組みは及んでいます。
区の全ての保育園で「野菜を食べる日」を設けて、調理は子供たちが担当します。
子どもたちが自分たちで作って自分たちで野菜料理を食べるのです。


野菜をあまりとらない家庭では、経済的な理由だけでなく、親がその必要性を感じていないことがわかっています。
子どもたちから野菜の大切さが親に伝わり、家庭でも食べるようになったという例も出て来ています。


その結果、足立区は野菜摂取量が一人あたり5㌔/年も増加。
“足立区こころとからだの健康づくり課”では、「健康になりたいと思って選択したわけではないのに、誰もが自ずと知らないうちに健康になれる仕組み」とこの取り組みのことを紹介しています。

最後に

“ソーシャル・キャピタル”という言葉があります。


人のつながりが生む力のこと。
地域の人が信頼し合い、困ったときには助け合える関係が築かれること。


ハーバード大学公衆衛生大学院のイチロー・カワチ教授は、健康格差を縮小するために一番有効なのは、「社会参加」だと主張します。


「つながっていること」
社会参加と交流は、健康を保つ要因のかなり大きな部分になると考えられます。


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