漢方の体質分類で自分の体質を知ることの重要性とは?

健康
「西洋医学は病気を治し、東洋医学は病人を治す」という言葉があるそうです。
確かに、病院に行くと、いくつもの「科」に分かれていて、どの「科」に行けばいいのか迷うようなこともありますよね。これは体の部位を分けて考える西洋的な治療法だと思います。
反対に、東洋医学は「体全体のバランスを診る」医療です。体の不具合は、どこかのバランスが崩れていると考えて、そのバランスを取り戻すことで健康な状態を目指す方法です。
その判断のアプローチの1つが体質による分類です。
人の体質を「証」という概念で判断しますが、今回は大きく3つのタイプに分けて説明します。

漢方の体質は大きく3つに分類される

実証タイプ

実証タイプの人は、
筋肉質でがっしりした体格。
声は大きく、食事は速い。
体力に自信があり、無理が効く。
風邪の抵抗力があり、多少の熱でも気力で動く。
徹夜してもOK。体に負担をかけても苦痛を感じない。
血圧高め。
新陳代謝は活発。
顔つやが良い。
薄着OK、冷えに強い。
行動範囲が広い。
スポーツを好む。
生活は不規則。
と言った傾向が見られます。
実証タイプの人は、自分は健康で無理が効くと考えています。はたから見ても丈夫そうに見えるので、虚証タイプの人はうらやましく感じます。でも、実証タイプの人も目指すところは「中庸」なんですね。
漢方的に見ると「実証タイプ」の人は、「体のセンサーが鈍い」と考えられるからです。体の声を聞かない、または聞こえない、つまり体のピンチを察知する能力が弱い、ということなんですね。
なので、ギリギリまで突っ走ってしまって本当に自覚できるほど具合が悪くなったときは、かなり進行している状況ということも考えられます。
“メタボリック・シンドローム”といわれる人も、実証タイプの人です。
食べ過ぎ・飲み過ぎから、肥満・高血圧・高血糖・高脂血症などになりやすい生活習慣の人が多いからです。
ところが本人はあまり自覚してないんですね。バリバリ精力的に活動できる自分に、自信と誇りを持っているので。

虚証タイプ

虚証タイプの人は、
やせ型または水太り。
行動範囲は狭い。
声は小さく、顔色は青白い。
食は細く、食べ方は遅い。
疲れやすく体力に自信がない。
疲れたときの回復が遅い。
風邪を引きやすい。
低血圧。
生活は規則的。
徹夜はできない。
性格的には引っ込み思案。
新陳代謝は鈍い。
 といった傾向が見られます。
虚証タイプの人は体のセンサーが敏感なので、自分の不調にいつも意識が向いています。
体だけではなく心に対しても敏感で、実証の人と比べると繊細で傷つきやすいという傾向があります。
虚証の人は新陳代謝が弱いので、血液の循環も鈍く、体の中でつくり出す熱が全身に行き渡りにくいんですね。
そして、虚証タイプは全体的に免疫力が低めということが上げられます。しかも反応が遅い。
なので、インフルエンザや風邪にいつも気を付けていないといけません。
ワクチンに頼るよりは、休養、栄養、睡眠など規則正しい生活をすることで免疫力を高め、感染症などに強い体になることを目指すことが、そのまま感染症対策にもなるということになります。
虚証タイプの人は、体力的にも健康面でも、自信が持てない。自己評価が低いとも言えます。
今の時代は社会全体が実証タイプの人を求めている傾向があるので、虚証タイプの人は自分の居場所がないような気持になります。でも、本当はそういう社会が“病んでいる(未病)”とも言えるわけです。
昔は虚証タイプの人が生き延びるのは大変でした。そもそも体力がなく、免疫力が弱いんですから。
でも、医療技術が充実している現代では、虚証タイプの人のほうが長生きができるんですね。仕事で燃え尽きる可能性も低いので(その前に引きこもったりしがちなので)。

中庸タイプ

漢方では理想の体質を「中庸」と考えています。
実証タイプも虚証タイプも、中庸を目指すことでそれぞれの危険を回避することができます。
体のバランスが完璧に整っている状態が中庸。このバランスが崩れると、人の体は実証か虚証のどちらかに偏ってしまうことになります。
ただ体質は遺伝的なもの。自分ではどうすることもできないのでは?
と考えがちなのですが、実は自分の体質に合わせた生活をしていくことで、中庸の体に変わることができるんです。
その“キモ”は、「自分の体質を意識して日常生活をマネジメント(自己管理)する」ということです。

「未病」について

ここで「未病」という概念が登場します。
「未病」とは、病気の一歩手前の状態のこと。病名がつくような病気ではないけれど、病気に向かっている状態のことです。「だるい」「疲れやすい」「食欲がない」、といった兆候のことですね。
この「未病」に対して、実証の人は軽んじ、虚証の人はこの状態から騒ぎ出す、ということ。
「未病」は医者に治してもらうのではなく、自分で治せる範囲の不調なのです。
でも、不調を調整するためには、ふだんから自分の体の状態を知っておくことがとても大事です。

まとめ

漢方の体質分類は、実証、虚証のほかにもいくつかの「証」があります。
でも、大きくは「実証・虚証・中庸」という分類でとらえておけばいいかと思います。
今回、この分類でとても腑に落ちたことがあります。
それは、若い頃は実証タイプだった人でも、年齢を重ねていくことで虚証の傾向になっていくということ。私自身、若い頃は虚実混合だったような気がしますが、今は明らかに「虚」のほうが優性です。
一般的に良いとされている食材などでも、それはおもに実証タイプの人に合うものということも考えられるので、その場合、虚証タイプの人は食べる工夫が必要になるかもしれません。
これからの健康生活には、「自分の体質を知っておく」ことが欠かせない認識になるかもしれませんね。

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